2023-10

essai

【白猫イネスの日々】3話:犬のような我が家の猫

猫が犬だなんて、一体何を言い出したのだと思う方もいるかもしれない。 けれどうちの猫の行動を見ていると、どうも猫ではなく犬なのではないかという疑念がわいてくる。 例えば猫を飼う前に友人に「猫は水平よりも垂直の運動をする生き物」という教えを受け...
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【フランスの美術館】元アートディーラーが集めた珠玉の現代アート「Correction Lombert」

かつてPhilippe le Bel(美男王)と呼ばれたフィリップ4世によって教皇庁が置かれ、一時期キリスト教世界の中心ともなった歴史深い地区、アビニョン。南仏らしい乾いた空気と重厚な石造りの街並みはパリやフランス第2の都市と呼ばれるリヨン...
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【リヨン留学記】5話:夏と秋の間で

わたしがリヨンに着いたのは10月のことであったが、街にはまだ夏の名残があった。風は湿っていてなま温かく、陽射しが燦々と降り注ぐ昼間ともなれば、みなタンクトップや半袖姿で過ごしていたほどだ。 リヨンにはローヌ川とソーヌ川という2つの川が流れて...
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【リヨン留学記】4話:語学学校の仲間たち

わたしが通っていた語学学校は大学附属のものではなく小さな私営のもので、レストランやスーパーなんかが入っているような街中の建物の2階にあった。とはいえフランスだから建物は石造りで洒落ていて、艶々と飴色に輝く木製のドアを開けるときはいつも胸が弾...
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【リヨン留学記】3話:リヨンの小さなマダム

家の中でゴーンゴーンという鐘の音が聞こえてきたら、オディールに電話が掛かってきた合図である。これがしょっちゅうのことで、書斎の椅子に腰掛けて電話に夢中になっている彼女に口パクで「À ce soir(直訳だと夜に。行ってきます、という意味)」...
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【リヨン留学記】2話目:ローヌ川のシーニャたち

ホームステイしていた家から語学学校に向かうためには、リヨンを流れる2つの川の内のひとつであるローヌ川を北上し、40分ほど歩かなければならない。そのため最初の数日間はメトロを使って移動をしていた。 ところが3日目のこと、オディールに明日は歩き...
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【リヨン留学記】1話目:大きな風に包まれたなら

わたしがリヨンに着いた日は、立っているのがむずかしいほど大きな風が吹いた日だった。びゅうっと耳の中で大きな風鳴りが響き、落ち葉やら紙やらが夏の名残を残したぼやけた青空の中へと舞い上がって消えてゆく。「大きな風に包まれたら、それは幸福の兆しで...
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【リヨン留学記】プロローグ:家探しをしていたはずが、フランスに行ってしまって

人はなぜ旅をするのだろう。遊牧のように生活のための移動ではない。ひとところに居ても十分に生きていけるというのに、わざわざ膨大なお金と時間をかけて、ただ場所を転々とする。どこかに行きたいという純粋で、そして荒々しく抑えきれない欲求に追い立てら...
littérature

【ロマン感じるフランス語】rivièreとfleuve、2つの川の違い

この読み物では、私がおもしろいと感じたフランス語の表現や知識をお届けします。今回は、川という意味の「rivière」と「fleuve」の違いについてです。  フランス語には「rivière」と「fleuve」、川と訳される言葉が2つある。 ...
paris

【パリの休憩スポット】1:高級住宅地16区でまどろみのひと時を

パリが芸術家にとって都だったのは、まだパリが庶民的で暮らしやすかった頃の話だよと、中国人の我が友人は言った。幼い頃から英語を学び、さらに大学時代は国際系の学科に通って日本語もマスターした彼女は、今や世界中に友人がいて、彼女自身も上海を拠点に...