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【リヨン留学記】9話:リヨンはおいしい?-夜ごはん編-

「À Table(ア・ターブル)」と呼ばれる瞬間が、留学中一番の楽しみだった。「À Table」とは直訳だと「テーブルに」だが、「ご飯ですよ」と呼ぶときの言葉である。 留学中は朝ごはんと夜ごはんをオディールが用意してくれていた。そのため午後...
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【リヨン留学記】8話:リヨンはおいしい?-朝ごはん編-

留学中はホームステイ先に朝と夜の食事も出してもらっていた。 リヨンに着いた日に「Megumiは朝ごはんに何を食べるの?」とオディールに訊かれ、わたしは少し悩んでから「パンとかフルーツかなぁ」と歯切れ悪く答えた。日本にいる時はグラノーラの時も...
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【リヨン留学記】7話:リヨンはおいしい?-外食編-

パリが「アムール(愛)の街」と呼ばれる一方で、どうやらリヨンは「美食の街」と呼ばれているらしいと、わたしはこの街を訪れてから知ったのだった。 日本に帰って来てからも幾人かに「リヨンに行ってたの?リヨンはおいしいよね」と言われたから、フランス...
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【リヨン留学記】6話:双子の川

夕暮れどきは瞬く黄金色の光が水面を覆い、陽が沈んでからはうすく儚い紫色が揺らめいて、そして夜は、フェルメールが愛したかの青を、底に沈めたかのように川は深く鮮やかな濃紺の光をじんわりとはなっていた。 リヨンで過ごした時間はいま思い返しても宝も...
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【白猫イネスの日々】3話:犬のような我が家の猫

猫が犬だなんて、一体何を言い出したのだと思う方もいるかもしれない。 けれどうちの猫の行動を見ていると、どうも猫ではなく犬なのではないかという疑念がわいてくる。 例えば猫を飼う前に友人に「猫は水平よりも垂直の運動をする生き物」という教えを受け...
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【フランスの美術館】元アートディーラーが集めた珠玉の現代アート「Correction Lombert」

かつてPhilippe le Bel(美男王)と呼ばれたフィリップ4世によって教皇庁が置かれ、一時期キリスト教世界の中心ともなった歴史深い地区、アビニョン。南仏らしい乾いた空気と重厚な石造りの街並みはパリやフランス第2の都市と呼ばれるリヨン...
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【リヨン留学記】5話:夏と秋の間で

わたしがリヨンに着いたのは10月のことであったが、街にはまだ夏の名残があった。風は湿っていてなま温かく、陽射しが燦々と降り注ぐ昼間ともなれば、みなタンクトップや半袖姿で過ごしていたほどだ。 リヨンにはローヌ川とソーヌ川という2つの川が流れて...
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【リヨン留学記】4話:語学学校の仲間たち

わたしが通っていた語学学校は大学附属のものではなく小さな私営のもので、レストランやスーパーなんかが入っているような街中の建物の2階にあった。とはいえフランスだから建物は石造りで洒落ていて、艶々と飴色に輝く木製のドアを開けるときはいつも胸が弾...
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【リヨン留学記】3話:リヨンの小さなマダム

家の中でゴーンゴーンという鐘の音が聞こえてきたら、オディールに電話が掛かってきた合図である。これがしょっちゅうのことで、書斎の椅子に腰掛けて電話に夢中になっている彼女に口パクで「À ce soir(直訳だと夜に。行ってきます、という意味)」...
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【リヨン留学記】2話目:ローヌ川のシーニャたち

ホームステイしていた家から語学学校に向かうためには、リヨンを流れる2つの川の内のひとつであるローヌ川を北上し、40分ほど歩かなければならない。そのため最初の数日間はメトロを使って移動をしていた。 ところが3日目のこと、オディールに明日は歩き...