essai【リヨン留学記】1話目:大きな風に包まれたなら わたしがリヨンに着いた日は、立っているのがむずかしいほど大きな風が吹いた日だった。びゅうっと耳の中で大きな風鳴りが響き、落ち葉やら紙やらが夏の名残を残したぼやけた青空の中へと舞い上がって消えてゆく。「大きな風に包まれたら、それは幸福の兆しで...2023.10.13essai
essai【リヨン留学記】プロローグ:家探しをしていたはずが、フランスに行ってしまって 人はなぜ旅をするのだろう。遊牧のように生活のための移動ではない。ひとところに居ても十分に生きていけるというのに、わざわざ膨大なお金と時間をかけて、ただ場所を転々とする。どこかに行きたいという純粋で、そして荒々しく抑えきれない欲求に追い立てら...2023.10.12essai
littérature【ロマン感じるフランス語】rivièreとfleuve、2つの川の違い この読み物では、私がおもしろいと感じたフランス語の表現や知識をお届けします。今回は、川という意味の「rivière」と「fleuve」の違いについてです。 フランス語には「rivière」と「fleuve」、川と訳される言葉が2つある。 ...2023.10.11littérature
paris【パリの休憩スポット】1:高級住宅地16区でまどろみのひと時を パリが芸術家にとって都だったのは、まだパリが庶民的で暮らしやすかった頃の話だよと、中国人の我が友人は言った。幼い頃から英語を学び、さらに大学時代は国際系の学科に通って日本語もマスターした彼女は、今や世界中に友人がいて、彼女自身も上海を拠点に...2023.10.10paris
essai【白猫イネスの日々】2話:涙の理由を教えてよ ある日、イネスが泣いていた。 猫は人間のようにかなしい気持ちを浄化させるために泣く、なんていう水分の無駄遣いをしない。涙が出るのはあくまでも目に入ったゴミを洗い流すためである。猫とはロマンではなく実用のために泣く現実的な生き物なのだ。そのた...2023.10.02essai
essai【白猫イネスの日々】1話:彼女がイネスの理由 3年ほど前から、保護猫団体から1匹の猫をもらい受けてともに暮らしている。真っ白い毛をしたメス猫で、名前はイネスという。 この名前、フランスに馴染みがある方ならすぐにわかるだろうけれど、フランス人の女の子につけるようなフランスかぶれな名前なの...2023.10.02essai